奄美美人伝説

むちゃかな伝説
「瀬戸内町加計呂麻島の生間という集落に「うらとみ」という,島唄と三味線の上手い美人がいた。

うらとみは当時,鹿児島から来ていた役人に気に入られ,島妻にと請われる。しかし,うらとみはこれをかたくなに拒む。両親は苦慮し,集落に迷惑のかからぬようにと,うらとみをある日小舟に乗せ沖へ流す。

うらとみを乗せた小舟は何日かの漂流の後,喜界島へ漂着し,村人に救われる。うらとみはそこで結婚し,「むちゃ加那」をもうける。

このむちゃ加那もまた美人であった。ある日,むちゃ加那の美しさを妬んでいた女友達に誘われ,アオサ(青海苔)採りに出かける。

アオサ採りの最中に,むちゃ加那はその女友達に海へ突き落とされ溺死する。後でその事実を知ったうらとみは,ショックで入水自殺をする。」



かんつめ伝説
「薩摩藩政下,名柄の豪農の家に,かんつめという名のヤンチュがいた。唄がうまく,美貌だったという。

あるとき,名柄から山ひとつ隔てた久慈の役所の岩加那と出会い,恋仲になる。以来,毎晩のように名柄と久慈の間の山中であいびきを重ねる。

かんつめに思いを寄せていた豪農の主人は嫉妬し,妻と一緒になってかんつめを虐待した。世をはかなんだかんつめは,いつものあいびきの場所で,首をつって果てる。

岩加那がその場所に行くと,かんつめが現れ,ふたりは唄を歌って過ごす。だが,夜明けとともにかんつめの姿が消え,見上げると,変わり果てたかんつめの姿があった。」


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