かんつめ節の碑




奄美には美人にまつわる不幸な話があります。

「薩摩藩政下,名柄の豪農の家に,かんつめという名のヤンチュが
いた。唄がうまく,美貌だったという。

あるとき,名柄から山ひとつ隔てた久慈の役所の岩加那と出会い,
恋仲になる。以来,毎晩のように名柄と久慈の間の山中であいびき
を重ねる。

かんつめに思いを寄せていた豪農の主人は嫉妬し,妻と一緒になっ
てかんつめを虐待した。世をはかなんだかんつめは,いつものあい
びきの場所で,首をつって果てる。

岩加那がその場所に行くと,かんつめが現れ,ふたりは唄を歌って
過ごす。だが,夜明けとともにかんつめの姿が消え,見上げると,変
わり果てたかんつめの姿があった。」


かんつめの死後,豪農の主人の家では,一族の者が毒蛇ハブにかま
れたり,変死したりして没落した,と今に伝わっているようです。


カンツメの碑は,ふたりがあいびきをしたとされる場所の近くにあるよ
うです。県道79号線沿いで宇検村と瀬戸内町の境にあります。